In the City

miyazaxi2005-10-29

ヴェンダースの"都会のアリス"をビデオで見た。要約すると、男(31歳)が女の子(9歳)をかどわかして(?)、アメリカとかオランダとかドイツとかあちこちうろうろする話である。ちなみに音楽はCANが担当していた。とにかく見ている者に恐ろしく強烈な寄る辺無さを感じさせる映画だ。アリスの祖母探しのくだりなどは二人があまりにどうでもいい調子で適当に探しまくっていくので頭がぼんやりしてくるほどだった。しかし、農耕民族的に土地(というか水田)というものの重さを知る俺の心が、映画でのふたりの漂泊ぶりの凄まじさに簡単に捉えられてしまうのだ。彼らの寄る辺無さ加減が、大変な魅力として写るのだ。健全な(固定した)社会生活からの逸脱への誘いか。そんな感じでふらふらした気分だと、ルノーに乗ったアリスの不機嫌極まりない表情が、美しく思えて仕方がないのだ。