ロンリー・ガール、ロンリー・ボーイ

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)
魁!!クロマティ高校(1) (講談社コミックス)
漫画"魁!クロマティ高校"と"鈴木先生"は、構造的に極めて似ている作品であると思われる。作中世界では何にもまして「論理整合性」が絶対至上の価値を持っている。個々の登場人物はあらゆる事態(ゴリラが唐突に学校にあらわれたり、生徒から思想的挑戦を受けたり)に対して自分の持つ規範、倫理、主義主張を、「議論」を通じて他へ押し広めなければならない。他のことはおよそ何も行われない。このため、両作品とも異常事態ー議論ー結論(オチ)ー異常事態ー議論ー結論(オチ)ー異常事態ー議論ー結論(オチ)ー異常事態ー議論ー結論(オチ)・・・・・・・・となる。さて、こんな有様なのに、では何がおもしろいのかというと、いかなる場合においても論理を整合させることがすべてに優先するため、いわゆる「常識」、「世間」、「通常の人間関係」を突き破った結論(オチ)となってしまうことが起こるからである。結局、普通の人の日常生活においては、論理の徹底などは行われず、ある一定のレベルで思考を停止し、なあなあまあまあで落ち着かせることになる(これはこれで必要だろうが)。こういう一種の怠慢に身を置いている自分などは、論理思考の徹底の先にこそ、真の情念の行き先があるのではないか、などと思わせられてしまうという、大変良くない作用があるような気がする。